月別アーカイブ: 2015年7月

起業と、これからの産業について

日本人は、起業志向が弱く、産業を活性化させ、国際競争力を高めるために、起業する人を増やし、開業率をもっと高めるべきということで、さまざまな施策が行われています。

しかし、開業率は、いっこうに向上していません。

これもアベノミクスの成長戦略が、うまくいっていないと言われる要因の一つとなっています。

起業は、大きく2種類あり、イノベーションによる起業と、地域顧客の現状のニーズを満たすための、起業があります。

どちらも、重要ですが、産業の活性化と国際競争力を高めるのは、イノベーションによる起業です。

イノベーションによる起業とは、新しいテクノロジー、ビジネスモデルを使用し、大きな成長志向を持って起業することです。

近年は、インターネットを使ったビジネスで、新たな顧客を創造するモデルが多いです。ただ、インターネットの世界は、すでにGoogleが支配しており、まだ、成長していくでしょうが、成熟化しつつあります。

その後は、人工知能、ロボットなどの新しいテクノロジーを使用したモデルとなるでしょう。

ただ、このような技術がないと、イノベーションを起こせないかというと、そんなことはありません。ちょっとした身近なものから、新しいアイデアが生まれます。イノベーションは、ICTの分野に限らず、さまざまな業種、また、民間だけでなく、行政など、あらゆる業界で、起こすことができます。

イノベーションを起こすためには、こんな社会であったらいい、こんな仕組みがあればいいという、未来への夢や願望が必要です。現在がどうであろうと関係なく、未来への夢を抱くことが、イノベーションを起こします。技術は、後からついてきます。

イノベーションを活性化させる取り組みが、ビジネススクールや、企業でも行わていますが、イノベーションは、人為作為的に起こせるものではなく、一人の人間の強い想いから生まれます。そのような人物は、往々にして、社会や組織のアウトサイダーであり、既存の世の中の仕組みを、変革させます。

どこにそのような人物がいるのかは、わかりません。大学の研究室とは、限りません。海でのんびり釣りをしているかも知れませんし、子供のおむつを一生懸命替えているかもしれません。

起業家を発掘していくのは、起業家を支援するベンチャー・キャピタルや、コンサルタントなどの専門家です。変革なんて、とんでもないと内心思っている組織人には、慧眼を持って、起業家を見出すことはできないでしょう。

日本人は、もともと優秀なので、きっと、これから、イノベーションを起こす人達が多く現れ、世の中をより良く変えていくと信じています。


いい財務内容とは

最後のいい会社の要素である、いい財務内容ですが、「いい経営者」「いい商品・サービス」「いい人・組織」があれば、自ずと利益が出て、いい財務内容になるのでは、と思われるかも知れません。

確かに、財務内容は、事業の結果が集計されたものであり、事業活動の成果を表すものです。上場会社においては、最近、特に ROE(株主資本利益率)が重視されています。

しかし、いい財務内容の、最も基本的で、大切な要件は、ROEを高めることではなく、事実を表現するということです。

大手メーカーの不適切会計の問題が、話題となっていますが、財務内容は、たとえ業績が悪くとも、事実を開示しなければいけません。事実から、現状の問題点を分析し、改善策を打つことができます。

京セラの創業者、稲盛和夫は、技術畑出身で、会計のプロではありませんでしたが、京セラが、中小企業であった頃から、財務管理の重要性を、よくわかっていました。そして、「アメーバ経営」という、自社独自の管理会計の仕組みを、構築しました。

そこには、稲盛氏の、経営は正直でなければならない、という哲学が貫かれています。

財務に手を抜き、不正が横行し、正直な開示が行われなければ、会社は、信頼を失います。

いい財務内容は、このように経営者の誠実性により、担保されます。

 


いい人、組織とは

事業を行っていくには、多くの人を力が必要です。芸術家であるなら、一人で仕事が完結することもあるでしょうが、事業を行うなら、より、多くの人を集めなければいけません。

いくら、有能な経営者でも、何にでも、秀でている人はいません。レオナルド・ダ・ビンチのような万能人に近いような人も、稀にいるかも知れませんが、大抵は、一芸に秀でた人でも、他方面では、駄目なようです。

スティーブ・ジョブズは、マーケティングの天才でしたが、技術者ではなかったので、天才技術者のウォズニアックと組んで、アップルを創業しました。               本田宗一郎は、自分とは全くタイプの異なる、管理面に長けた藤沢武夫と組み、ホンダをグローバル企業にしました。

このように、異なる才能が集まることで、企業は、大きく成長することができます

組織は、個々の従業員が、十分な能力を発揮するように、構築、編成されます。ですので、最初に人があって、組織が成り立ちます。

ただ、企業が大きくなっていくと、組織のために人があるという、組織優先の風土に変わっていく傾向があります。いわゆる大企業病です。

いい商品・サービスは、多様な能力をもった人達が、創り出します。いい組織の役割は、個々の従業員の能力を、事業遂行のために、結集させることです。

いい経営者は、さまざまなタレントを世界中から集め、組織化し、彼らの能力を、事業遂行のために、十分に発揮させることができます。

次は、いい会社の4つの要素の最後になる「いい財務内容とは。」です。


いい商品、サービスとは

事業とは、マーケティングイノベーションである。ドラッカーの有名な言葉です。

いい商品、サービスは、マーケティングとイノベーションが、融合して生まれます。それは、マーケット・イン思考とプロダクト・アウト思考、わかりやすく言うと、商人魂と職人魂の融合ということです。

革新的な商品・サービスが、顧客に、これこそ求めていたものと、受け入れられる時、いい商品・サービスが生まれます。

技術的に優れていても、顧客から受け入れられないもの、一時の流行で、顧客受けを狙ったものは、いい商品・サービスではありません。

いい商品・サービスは、会社のコア・バリューとなって、多くのキャッシュ・インをもたらし、会社のブランドとなるものです。

では、いい商品・サービスを生み出すには、どうしたらよいでしょうか?

その答えは、人にあります。

次回は、「いい人・組織とは」についてです。


いい経営者とは

会社のスタートは、経営者です。創業者のアイディアが、いい商品・サービスを世に出し、人を集め、利益を生みます。

もちろん、創業間もないベンチャー企業と、社歴の長い大企業とでは、異なる面も多くあります。しかし、ベンチャー企業だけでなく、100年以上続いているような会社であっても、経営者は、会社のリーダーであり、自社だけでなく、その産業を引っ張り、国家をも引っ張っていくべき人です。名経営者と称賛される方々が、正にそうです。

戦国時代においては、総大将の首をとることが、戦に勝つことでした。それほど、トップの存在は、大きいということです。従って、当然、大きな会社であれば、それなりの人が、経営者のポストにいるはずです。ところが、そうではない場合もあり、経営者の不祥事が、マスコミで話題にあがることもあります。

では、いい経営者は、どのようにして、創られるのでしょうか?

経営者にも、カリスマ創業者、先祖代々続いている同族経営者、サラリーマン経営者など、タイプはさまざまで、境遇や持っている能力も異なりますが、経営者が背負っているものの大きさは、従業員が理解できるものではありません。

それ故、慢心、過信に陥るリスクがあります。

いい経営者とは、常に成長し続ける人、正しいことを行おうとし続ける人です。これは、善きリーダーであることと通じます。

これから、企業に就職しようとする学生や、アナリスト、監査法人なども、もっと、経営者の評価を重視すべきです。

財務分析は最後でいいので、経営者がどのような人物なのか、どのような哲学をもっているのか、会社は、どのように経営者を選んでいるのかなどを、まずは、よく調べる必要があります。

経営者が、会社の命運を大きく左右します。たとえ、今、最強の商品、最強の人材を持っていても、トップが腐っていたら、その組織は、もう腐っています。

いい会社を創るには、いい経営者が、必要不可欠なのです。

次回は、「いい商品・サービス」についてです。


いい会社とは

いい会社とは、何か?

いい会社とは、「経営者」「商品、サービス」「人・組織」「財務内容」の4つの要素から、成り立つと、定義します。

つまり、いい会社には、「いい経営者」「いい商品・サービス」「いい人・組織」「いい財務内容」があるということです。

この4つの要素を向上させていくことで、いい会社を創っていくことができます。

では、次回は、「いい経営者」について、記載します。