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負けない投資

個人においても、会社においても、投資を行う機会は多々あります。投資を行うに当たり、大きく儲ける前に、もっと重要なのは、負けないこと、つまり、損をしないことです。

確かに、損をしたことで、それが経験となり、次回以降に投資に活かされるという、言わば、授業料の意味を持つこともありますが、払う必要のない授業料は、払うべきではないのです。

ここでは、投資で負けないための、いくつかのポイントを記載します。

情を込め過ぎない

投資を行う際には、その投資先の事業に強い思いがあったり、大きく期待したり、応援したいという気持ちは、少なからずあるでしょう。しかし、それがために、損をしては、元も子もありませんし、自分自身が同情されるはめになります。

投資する以上、将来性、成長性が必ず見込めるという確信と、その裏付けが必要です。それでも、上手くいかない場合もありますが、成功する確率は、上がります。

情を込めるすぎると、損をしても、損切りができずに、ずるずると損を膨らませていくということも起こります。

会社であっても、個人であっても、投資はクールに行う必要があります。

株主優待、配当利回りに騙されない(個人投資の場合)

個人株主が日本の会社の株式に投資する場合、株主優待という動機付けも大きいです。日本人は、お土産好きですし、優待をもらうとなんとなく、得した気分になります。

しかし、そこが落とし穴で、いくら優待をもらったからといっても、株価がどんどん下落して、含み損を抱える状態では、話になりません。一時的な下落ならいいですが、優待だけに目がくらみ、成長性のない企業に投資してしまうと、継続的に株価が落ち続け、ついには、優待までなくなってしまうということもあり得ます。

株の含み損益と比較したら、優待の金額なんて、通常は、微々たるもので、だったらお金を出して買った方がずっとましです。

これは、配当目的の投資の場合も、同様です。たとえ、伝統のある一流企業であっても、そのビジネスに成長性が感じられず、徐々に衰退していく会社には、配当利回りがいくら良くても、投資すべきではありません。

よくわからないものには、投資しない

上記に記載したことにも関連しますが、損をしないためには、その会社の成長性や、将来性を自分なりに、考えることができる会社に投資する必要があります。

よくわからない、情報が得られない会社には、手を出さない方が賢明です。また、仮に損をした場合でも、自分が納得した上で、投資した場合には、後悔は少なく、また、そこから学ぶものも多いでしょうが、自分が理解できずに投資して、損をした場合、後悔だけが残ります。

投資は、楽しく、素晴らしいもの

投資は、本来、投資する側、投資される側双方にとって、メリットがあるものであり、生活をより豊かにしてくれるものです。

そのためには、損をしない投資を心がけ、それなりの時間を投資する必要があります。

 


投資で成功するための、財務数値の読み方③

お金がなくなれば、会社は倒産します。財務体質がいい会社というのは、お金をたくさんもっている会社のことです。お金がたくさんあり、借金のない会社が倒産することはありません。従って、財務体質がいい、キャッシュ・リッチの会社は、投資したお金が、紙くずになってしまうリスクが小さいということになります。

財務体質の見方

会社の財務体質を表す指標として、自己資本比率があります。これは、高ければ高い程、財務体質がいいということになります。もちろん、借入により、調達したお金を成長投資に用いることは、会社にとっては、必要ですが、借入の比率が大きくなると、支払利息も大きくなり、借入金を返すために、また、借入れするという負の連鎖にも、なり兼ねません。

また、フリー・キャッシュ・フローという指標があり、これは、企業が営業活動で得たキャッシュ・フローから、通常サイクルの投資を引いた、企業が自由に使うことのできる余剰資金です。このフリー・キャッシュ・フローの大きさが、企業がお金を稼ぐ力と言えます。

株主還元について

しかし、会社の内部にお金を貯め込んでいるだけでは、企業は成長しませんし、株主からの期待に応えることにはなりません。企業の株主還元の方法として、大きく2つあり、配当金を支払う方法と、自社の株式を買うという方法です。

配当金について、株主は、配当利回り(投資額について、どれだけの比率で配当が得られるか)を、最も気にしており、配当利回りが高さは、企業の財務体質がいいことを表します。しかし、配当より、成長性を重視する場合は、配当金へ支出より、会社は、成長投資に多くの資金を充てます。

このように、投資家は、株主還元と、成長投資のバランスを考慮しなければなりません。

ROEとは

最近、よく出てくる指標でROEというものがあります。これは、会社が株主が投資した額から、どれだけの利益を得ているかという、投資効率を表す指標です。日本企業は、持ち合い株式の慣行もあり、アメリカなどと比べて、ROEは低い水準にありますが、ROEの高い会社は、投資額を有効に活用している会社であり、投資家の評価も高くなります。

ROEを高めることは、企業側もお金の使い方が、より上手になることであり、より少ない資金で、より多くのキャッシュをもたらすような、事業を行うということです。

当然、これを高めるためには、事業戦略の巧拙だけでなく、生産性を向上させなければなりません。

デフレは解消されるのか

今の日本の金融政策は、デフレ脱却を目的としていますが、デフレ脱却のためには、生産性をより向上させ、従業員の給料を増やしていく必要があります。ただ、生産性向上のためには、より、多く知恵を使う必要があり、そのために、さらに、多くの時間を要し、なかなか生産性向上も平坦な道のりではありません。

これを解消するために、自社だけの知恵だけでなく、他社の知恵を利用するなど、より、オープンなイノベーションが必要です。また、より、多くの人々が投資に参加し、企業がより、多くの株主の声を取り入れることも必要です。

これらの相互作用によって、企業は、より、良い会社となり、投資が長期に渡り、報われることになるのです。


投資で成功するための、財務数値の読み方②

売上の次に重要な数値として、利益があります。利益と言っても、様々な利益があり、「営業利益」「経常利益」「当期純利益」など同じ利益でも、その内容は異なります。

利益は、売上から、それについて、かかったコストを差し引いたもので、売上以上にコストがかかっていれば、販売しても、お金はどんどん減っていくことになり、商売を継続することはできません。

ここでは、投資の際に留意すべき事項を、いくつか記載します。

様々な利益の違い

まず、売上から、それに関わる原価を引いた利益を、「売上総利益」といい、別名、粗利益とも言います。売上総利益からは、通常、商売を継続するために必要な、販売にために必要な費用や、管理のために必要な費用は、差し引かれていません。そのような費用を差し引いた利益を、「営業利益」と言います。これは、企業が自社の営業から得られる利益です。

営業利益から、配当金や、利息など、営業とは直接関係しない費用を加減した利益を、「経常利益」と言います。経常利益から、臨時的に発生する固定資産の売却損益を加減し、支払う法人税などを差し引いた利益が、最終の「当期純利益」です。

どの利益を見たらいいか

企業の営業上、通常発生する「営業利益」の増減は、企業の事業の成長力を最も反映するものであり、成長力は、営業利益をベースに判定するのが、最も妥当と言えますが、日本企業は、借入金の利息や、配当収入なども、毎期、継続的に発生し、また、為替の差損益も経常利益に反映されるため、経常利益を重視する傾向になります。

PERとは

投資において、PERという指標をよく耳にします。これは、株価収益率のことで、株価を一株当たりの当期純利益で割って算出します。株価が、1株当たりの当期純利益に対して、高いか安いかという目安となり、投資において、最も、重要な指標の一つです。

では、PERが低ければ、株価は必ず割安で、高ければ割高かというと、必ずしも、そうではなく、それは、企業の成長率との兼ね合いとなります。

例えば、PERが、20%であっても、企業の成長率がそれ以上であれば、割安と言えますし、PERが、5%であっても、企業の成長率がそれ以下であれば、割高となります。

実際には、継続的に得られる配当収入も考慮しなければいけないので、PERから、配当利回りを差し引いた比率と成長率と比較して、どちらが高いか、ということになります。

高値づかみを避けるためには

投資で成功するためには、高値づかみは避けなければなりません。そのためには、PERだけでなく、企業の成長率を見極めなければなりません。企業が公表されている計画上の数値から、修正される可能性もあるため、成長率を的確に把握することは、なかなか困難です。

また、PERも、用いれている利益は、当期純利益で、臨時的な損益が加減されたものであり、翌年度に大きく変動することもあり得ます。

これらを考慮しつつ、割安、割高の判断しなければなりません。

次回は、キャッシュについて、記載します。


投資で成功するための、財務数値の読み方 ①

M&Aを行い、企業をもっと成長させたいと考えている経営者の方々だけでなく、資産運用のための株式に投資している個人投資家の方々にとっても、投資先(候補先)の企業を理解し、投資を成功させるために、最低限、理解しておくべき、財務数値のポイントについて、3回に分けて記載します。

投資先の何を重視すべきか

株式の投資を行うことは、投資先の未来に賭けることです。しかし、未来について、予測することは、非常に困難であり、様々な要因が影響し、また、予測通りになるとは限りません。それでも、成功率を高めるためには、事前調査を行うことが、どうしても必要です。

投資をする場合、過去の実績だけでなく、企業の今後の成長性をいかに見極めるかが、投資の成否の大きな鍵となります。

企業の成長性を何で測るか

企業の成長性を測る項目として、第1にあげられるのは、売上高です。

売上が増えている企業は、いい商品、サービスを世に出し、お客様が増え続け、成長している企業です。上場会社であれば、売上高の推移や、将来の予算、計画が出ているので、それらから、何%程、売上高が年々増加しているのかを読みとることができます。

ただ、為替の影響により、顧客数は減っても、売上が伸びていたり、原材料の単価に上昇に伴い、販売単価が上がっているケースもありますので、売上増加=顧客増加という訳では、必ずしもありません。為替や、原材料単価の影響が大きい場合、年度単位で、大きな売上高の波がある場合もあります。

業界の特色を知る

従って、まずは、その業界や、企業のビジネスをよく知ることが、財務諸表の数字を理解する前に、重要になります。

とは言え、会社によって、様々なビジネスがあり、全ての業界を理解することはなかなか難しいことです。投資の神様と言われているウォーレン・バフェットでさえ、自分が理解できない事業には、投資しない(例えば、ハイテク業界)方針を貫いています。

よく通じている分野に対して、掘り下げる調査することで、他の投資家に対して、情報の面で優位に立つことができます。

現場を見る

また、ただ、公表されている数字だけを見ていても、会社の実態はなかなか把握することはできません。売上の予算を確認するのではなく、販売の現場を実際に見ることで、数字の心証を得ることができます。

例えば、小売業のチェーン店であれば、店舗を覗くことは、容易にできますし、商品が飲食品であれば、実際に食べてみて、味を確認することで、実際に売上が増えていくことに納得感を得ることができるでしょう。

販売は商売の肝

このように、商売繁盛の肝は、販売が好調であるかどうかであり、それについて裏付けが得られれば、その会社は、将来、ある程度は、成長が見込めると考えられます。

もちろん、技術革新の進歩は早く、長期的(3年以上)の予測は、それだけでは難しいです。従って、常に環境変化に、気を配る必要があります。

第2回目は、利益について、記載します。


CFOの役割

日本企業において、CFO(最高財務責任者)というポジションを設ける企業は、増加してきています。今までは、財務、経理部長といったポジションが一般的でしたが、欧米にならい、CFOという、肩書きを使うことが多くなっており、特にベンチャー企業にその傾向は強いです。

CFOとは

CFO(chief financial officer)とは、文字通り、企業における財務の最高責任者であり、企業の財務、経理を総括するポジションです。

財務、経理というと、管理業務という意識も根強いですが、最近では、財務を戦略的に行い、企業経営に活かしていくため、CFOの役割が見直されています。

CFOは、財務、経理の専門性だけでなく、経営について理解していることが求められます。経営戦略自体は、CEO(chief executive officer)の仕事ですが、それを財務面から、サポートしていくのがCFOの仕事です。

CFOは、CEOほど、会社の前面に立つことはないですが、会社を影から支える重要なポジションです。

CEOとの関係

いい会社には、いいCEOとそれを支える、いいCFOがいます。CEOが、財務の専門家であるという会社は、稀で、財務面は、どちらかというと苦手とされているCEOも多くいらっしゃいます。

そのCEOに代わって、財務面を取り仕切るのがCFOの役目です。

企業において、財務は、決して軽視できるものではなく、財務の甘さが企業の存続を危うくさせるケースも多くあります。

いいCFOは、経営戦略の一貫として、財務戦略を考えており、木を見て、森を見ないということがないよう、会社の全体像と、方向性を常に把握しています。

日本において、CFOは、まだ、根付いていない

しかし、日本の会社において、このようないいCFOを抱えている会社は多くはなく、そのような人材を育成していくことは、大きな課題と言えます。

時には、CEOに意見を述べ、説得させることがCFOには、必要であり、それだけの力を持った存在を、企業内に育成することは、なかなか大変なことです。

会計+ビジネスセンスを磨く

では、そのようなCFOを育成するためには、どうすべきかというと、もちろん、経理、財務のスキルは重要なのではなく、自分自身で、新しい事業の立ち上げや、事業買収の立案、交渉を行うなどの、経営の感覚も身につける必要があります。

CFOは、もちろんCEOに取って代わることはできませんが、CFOは、CEOにとっては、いなければ困る存在です。

CEOとCFOが力を合わせることで、会社はより良くなるはずです。


財務の果たす3つの役割

財務や、会計には、様々な役割がありますが、その中で、大きく分けると3つの機能があります。それらについて、今回は記載します。

1.財務会計

一般的に会計というと、この財務会計を思い浮かべる方が多いと思います。財務会計は、実際の経営数値に基づくものであり、会社の決算書は、財務会計に従って、作成されています。

決算書は、税務申告の基礎となり、株主への決算数値の報告、配当の支払いの基礎となるものです。

財務会計は、同一の会計のルールにより作成されます。中小企業は、大企業ほど厳格ではありませんが、上場会社であれば、公認会計士の監査が義務付けられており、会社が会計のルールに従って決算書を作成しているかを、外部の専門家がチェックします。

会計のルールは、会計基準と呼ぼれるものであり、海外に進出している上場会社の中には、日本の基準だけでなく、国際会計基準に従って、決算書を作成している会社もあります。

このように、財務会計の特徴としては、会社にとって必ず必要となるもので、実際の数値を使用しており、会計のルールに従って作成される、ということが挙げられます。

2.管理会計

管理会計は、財務会計を基礎としながらも、会社が自社の経営管理や、経営意思決定のために、用いるものであり、実際の数値だけでなく、予定数値や、標準数値が用いられます。

管理会計は、社外に公開する目的ではないので、自社で自由に構築することができます。予算の策定であったり、投資の意思決定、原価管理など、様々な局面で、管理会計は用いられます。

管理会計は、強制されるものではないため、会社の規模が大きくなるについて、整備の必要性が増してくるのが特徴です。大企業になると、自社独自に管理会計制度が整備されていますが、中小企業において、管理会計制度が十分に構築されている会社は、少ないと言えます。

3.財務戦略

財務戦略とは、経営戦略の一環であり、経営者が直接的に関与し、将来のリスクを勘案して、経営の重要な判断を行うための、財務上の方針です。

世界的な低成長下の経済環境の中、経営資源をより有効に、かつ、効率的に使用していくことが求められ、財務戦略は、ますます重要度が高くなっています。

財務戦略の立案には、財務会計や、管理会計の素養が、必要となりますが、経営者は、財務の専門家ではないので、他のマーケティングや、ICTといった経営戦略と同様に、それをどのように活かせば、どのような効果が経営に得られるかという観点を持って、立案にあたります。

例えば、M&Aといった企業にとって、重要な影響を与える経営戦略において、財務戦略が大きな鍵を握っています。将来のリスクを見誤って、多大な借り入れを行い、実行したM&Aが失敗に終われば、企業の継続性が危ぶまれることになります。

財務戦略を成功させるには

財務戦略を成功させるには、社内に専門能力を有する人材を配置するだけでなく、経営者自身が、財務的なセンスを身につけ、リスクマネジメントを適格に行う必要があります。

将来のことを予測することは、非常に困難であり、経営者の仕事に多種・多様にわたり、しかも、経営環境の変化は、どんどんスピードを増しています。

しかし、経営は博打よりも、はるかに成功率は高いはずですので、そのためには、準備を怠ることなく、問題解決にあたることが求められます。


経営者が知っておくべき、財務体質の改善方法 その3

今回は、経営者が知っておくべき財務体質の改善方法の最後に、損益項目について、記載します。

利益と、現金増減のズレに注意

会社が作成する損益計算書には、当期は、それだけ儲かったという、利益がどれだけかが表示されます。しかしこの、利益が現金の増減と、直接一致はしません。なぜなら、利益が計上されるタイミングと、現金収支のタイミングが異なるからです。

従って、利益の計上されるタイミングと、現金の出入りのタイミングのズレは注意する必要があります。例えば、法人税は、当期の利益に対して、計算し、支払いますが、支払うタイミングは、翌期になり、例えば、前期、多くの利益が計上されていれば、翌期に払う税金は、例え、翌期が急に赤字になったとしても、多くの税金は払わなければならないということです。

資金繰りを考えるにあたっては、この、タイミングのズレに注意しておく必要があります。「黒字倒産」ということも、現実的にあり得る話なのです。

粗利益の把握は、適切か?

粗利益というと、売上から、売上原価を引いたもの言います。その際は、売上は、明確に区分できますが、原価の方を区分するのは、なかなか難しいです。売上原価と、販売管理費について、同じ勘定科目でも、両方に跨るものもあります。

売上原価は、商品・サービスを提供する際に、販売に先立って、必要とされる経費であり、商品を販売するに当たっては、商品を仕入れたり、製造するために必要となる費用であり、サービスであれば、サービスを提供するために、必要である費用です。また、売上に比例して、増減する変動費と、売上に関わらずに、定額に発生する固定費があります。

粗利益を適切に把握することで、売上に対する粗利益率を算出することができ、採算性や、効率性を図ることができます。また、販売価格の算定においても、原価を正しく把握することが、重要となります。

販売管理費について

販売管理費についても、変動費の性質のもの、固定費の性質のものがあります。販促費であれば、売上に比例するでしょうし、本社の地代などは固定的に発生します。

交際費、広告費といった費用は、景気が悪くなると、カットされがちですが、売上に比例する、販売促進の効果がある変動費であれば、カットすることがさらに、売上の低迷に繋がる可能性もあり、そのあたりの見極めも重要になります。

また、研究開発費は、売上原価ではなく、販売管理費に計上されますが、研究開発費についても、毎期、一定額以上支出することで、将来の売上の増加に繋がることが期待される費用であり、こちらの支出についても、どれだけ支出すべきかといった判断が、重要となります。

利益の使い方

当期の儲けを、翌期以降、どのように使っていくも、重要な財務戦略です。配当や、設備投資、人材の増強など、企業の将来のビジョンに沿った使い方を決めていかなければなりません。

先日、麻生財務相が、留保利益に課税することも必要だ、との発言をされていましたが、利益をどれだけ、企業内に残し、どれだけを株主還元や投資に当てるかといった戦略も、日本企業にとって、重要性が増してきています。

以上、財務体質改善について、大まかではありますが、資産、負債、損益について、記載いたしました。

 


経営者が知っておくべき、財務体質の改善方法 その2

前回は、資産項目についての、ポイントを記載しましたので、次は、負債項目について説明します。

負債は、全て計上されているか

負債とは、将来支払わなければならないお金です。将来、どの時期に、いくらの支払義務があるかは、経営者は、頭に入れておかないと、資金繰りを行うことができません。

負債には、未払金。買掛金といった短期に決済されるものだけでなく、リースや、借入金のように、長期にわたるものもあります。また、従業員の退職金についても、金額の正確な見積もりは難しいですが、負債として、頭に入れておかないといけません。

これらの負債を、貸借対照表に計上します。

税務上の差異は、申告調整する

中小企業ですと、税務申告上、損金にならないものを費用として、計上することに抵抗があると考える経営者の方もいらっしゃいますが、会計と税務の差異は、税務申告の別表4で調整すればよく、賞与引当金のように、支払った時に税務上、損金となるものは、会計上は、負債に計上して、申告書で加算するという方法をとります。

長期にわたる負債についての、注意

例えば、借入金の利息については、借入れに伴い、支払われるもので、金額が確定しているものは、未払費用として、負債に計上します。

その際は、借入金は、長期にわたるものでも、全額が負債に計上されますが、支払利息に関わる、未払費用は、その期に対応するものしか、計上されません。

しかし、利息の支払いは長期にわたるので、翌期以降は、毎年どれだけの支払い義務が生じるかも、把握しておかなければいけません。

翌期以降の支払義務は、貸借対照表に載せないので、これについては、中長期の資金繰表等で把握すしておきます。

サプライズの支出を減らす

経営を行っていく上では、どうしても想定外の支出は、発生しますが、事前に把握できるものについて、金額、時期を把握し、金額が確定していなくても、見積もり計算をしておくことで、事前に、経営者は、財務戦略の手を打つことができ、財務体質の急な悪化を、予防することができます。

次回は、最後に損益項目について、コメントします。

 


経営者が知っておくべき、財務体質の改善方法 その1

企業の規模の大小に関係なく、財務体質の改善方法・ポイントにおいて、基本となる部分があります。今回は、もっとも重要となる貸借対照表項目のうち、資産について、記載していきます。

財務体質改善は、貸借対照表から

ご存知のように、会社の財務諸表は、大きく2つに分けると、財政状態を表す「貸借対照表」経営成績を表す「損益計算書」です。

財務体質の改善については、「貸借対照表」の方に着目していきます。

資産項目について

会社の資産には、様々なものがあります。その中には、すぐにお金として換金しやすいもの、しにくいものがあります。

一般的な会社の貸借対照表は、「流動性配列法」と言って、換金しやすい項目の方が、上に並んでいます。

財務体質改善のためには、資産の換金価値が、正しく表示されている必要があります。

言い換えると価値のない資産は、あってはいけないということです。

価値のない資産

価値のない資産とは、どのようなものを思い浮かべますか?

例えば、回収できる見込みが低い売掛金や、手形、売れる見込みのない商品、時価が大きく下がってしまい塩漬けになっている有価証券など、様々なものがあります。

このように価値のない資産が、貸借対照表に載っていると、どうでしょうか?

例えば、100円の売掛金が貸借対照表に載っていても、実際、回収できる売掛金が80円としたら、貸借対照表の載せる金額は、80円に直さなければなりません。

基準が曖昧な、中小企業の会計

株式を上場した、公認会計士の監査が義務づけれている会社が、会計基準に従い、上記のような価値ない資産は、実際の価値に直されますが、中小企業は、公認会計士の監査が義務づけれておらず、会計基準の適用が会社によって、曖昧になっているケースが多いです。

しかし、貸借対照表を見て、経営者が、正しい経営判断を行うためには、価値のない資産は載せるべきではありません。

資産の現在の価値を洗い直す

そのために必要となることは、まず、資産の価値を把握することが重要です。貸借対照表についての、各科目の内訳書に記載されている資産が、価値があるのかどうかを、定期的に洗い直す必要があります。

例えば、売掛金であれば、回収期日が到来しても、回収できていないものがどれくらいあるか、どれくらいの期間回収されていないか

在庫であれば、原価割れしても、売っているものはないか、長期間売れずに残っている在庫はどれくらいあり、それは、将来、売りことができるのか

といったように資産の項目ごとにチェック事項を設けて、見直してみることが必要です。

会社の現在の財政状態を知る

上記の見直しを行い、資産の価値を直してみて、初めて、あるべき会社の財政状態がわかり、それに基づいて、経営者は、正しい経営判断を下すことができます。

上場企業にとっては、当たり前のことでも、中小企業にとっては、見直しのコスト等の問題もあり、そのままとなっているケースも多くあります。また、大きな会社であっても、経営者は経理部門に丸投げして、自らは全く把握していないケースもあります。

財務体質の改善には、経営者も、会社の資産の現在の価値を、正しく把握している必要があります。