月別アーカイブ: 2015年8月

21世紀の負債

昨年、トマ・ピケティの「21世紀の資本」が大ブームとなりました。

ここでの内容は、ピケティの「21世紀の資本」とは、全く関係なく、資産や、財産と考えられてきたものが、負債となりうるということを述べます。

負債というと、思い浮かべるのは、借入金、買掛金といったものになるでしょう。負債は、このように、将来の支払義務であると定義できます。

では、資産や、財産であっても、負債となりうるというのは、どのようなものでしょうか?

第1に、不動産があります。不動産自体が負債ではないですが、不動産を維持するためには、固定費として、固定資産税や、修繕費などのコストがかかります。これらは、不動産を全く、使用していなくても、かかるものです。

空き家問題が、全国で深刻化していますが、空き家からは、全く収入が得られませんが、先ほどの固定費は、毎年かかります。従って、将来の支払義務が、発生する負債と考えることができます。

会社が所有している不動産も、収益を生まなければ、会計基準に従えば、減損処理により、帳簿価額を費用化しなければいけません。大企業は、業績が悪くなるとこの減損と、繰延税金資産の取り崩しにより、ダブルパンチを受けることになります。

第2に、人(従業員)があります。人は、会社の財産であるとよく言われますが、従業員が、全く機能しなければ、固定給という負債が、毎月発生することになります。

人手不足で、人を選ぶことができなったから、仕方なく採用した、というような声を聞くこともありますが、採用で失敗すれば、将来の負債を抱えることになります。

個人で言えば、悪妻は、典型的な負債と言えます。悪妻は100年の不作と言われますが、パートナー選びに失敗すれば、子供の代まで、災いを及ぼすことになります。

これらから、言えることは、資産や財産であっても、選択を誤れば、将来、負債となり、後で大きなつけが回ってくるということです。

ということは、不動産の購入、人の採用といった事項は、将来にわたり、会社の財政状態に影響を及ぼすものであり、選択時には、十分な思慮が必要ということです。また、選択後に有効に機能させるための、知恵も必要となります。

もちろん、結婚も言うまでもないですね。

 


東芝の事件から、学ぶべきこと

世間を色々と騒がせた東芝の「不適切会計」事件ですが、これは、会計だけの問題ではなく、現状の日本の企業経営を象徴する事件であると、私は考えています。

従って、これは、東芝だけでなく、すべての日本企業(特に大企業)が教訓とすべき事件です。

何故、この事件が起きたかという原因として、ガバナンス、内部統制が機能していなかったと言われています。形式的には、整っていたものの、実質は形骸化していたと。

官、学で制定される制度を、民間が実行する際においては、この問題は、必ず起こります。制度として従わなければならないなら、形式だけは、それらしく整えて、極力、実務で手を抜くようにすればいい、ということになります。

官、学は、実務のことはよく知りませんので、それでも、外から見たら、よくやっているということになります。

6月から、運用開始となったコーボレート・ガバナンス・コードにしても、個人的には、会社側は、またしても、形式的に対応しようとしているところが、多分にあると思っています。

新たに東芝で、選任された、社外役員のリストを見ましたが、申し訳ないですが、これは、ダメだと思いました。

年齢が高すぎます。本当に再起したいのなら、もっと若い人も加えるべきです。

経営に、さまざまアイデア、発想を取り入れることが目的なら、若い人や、さまざまな職種、国籍の人たちの、アイデアや発想も有益ではないでしょうか?もちろん、年齢の高い、実績のある方々の意見は重要ですが、年をとると実務感覚が鈍るのも事実です。

伝統のある会社ほど、斬新なアイデアを取り入れていく必要があります。これがイノベーションです。

また、制度の策定時にも、もっと多様性を持った、さまざま業界、企業規模、年齢層の人たちの意見を取り入れるべきです。

制度の策定時には、多様性が保たれていないのに、実務だけ、多様性を取り入れろというのは、いかがなものでしょうか?


終戦の日

今日は、8月15日で、戦後70年目の終戦の日となります。

節目の年ということで、例年よりも、テレビで戦争関連の番組が多く報道されています。

私も子供の頃は、戦争を体験した色々な方から、直接話を聞く機会は、多かったのですが、戦争を体験された方々が年々減っており、これからの世代に、戦争について、どのように伝えていくかということが、課題となっています。

戦争が悪であるということは、理解されてはいますが、どうやって、戦争を世界から無くしていくかということを、真剣に考えていかなければいけません。

貧困と戦争を世界から無くしていくことが、これから未来を創っていく自分達の役割でもあります。

日本という国の中でさえ、明治維新までは、戦争を行っていた訳で、日本という国が一つに統一されたように、世界が一つに統一されるということが、戦争を無くすためには必要です。ただ、その後には、他の星の宇宙人との戦争といったSF映画のような事が、起きるのかも知れませんが。

でも、世界は、1つにまとまる方向には進んでおり、いずれ、そのような世界が訪れることを心から望んでいます。

 

 


日本経済の再興について

日本経済の再興について、コーポレート・ガバナンスの充実など、さまざま施策が図られています。

しかし、個人的には、どれもピンときません。もちろん、定石どおりの戦略だとは思いますが、政府が主導しているのが、胡散臭いと感じてしまいます。

成長戦略は、民間主導で、行っていくべきもので、そのためには、アイデアや、チャレンジや、意思決定の早さが必要です。これらは、すべて、政府には欠けているものです。

シリコンバレーが日本になければ、これから創っていけばいいですし、すでに、京都のように、高付加価値の企業が揃っている地区はあります。

ただ、日本経済の再興のためには、スケールの大きいビジネスを行う新しい企業が、増えていく必要があります。いつまでも、トヨタ1強であってはいけません。

トヨタは、自動車をつくって、売っている企業にすぎません。トヨタは、それを世界中のどの企業より、真摯に取り組み、今の地位を築きました。

自動車以外の分野で、トヨタを凌ぐ会社が出てきても、おかしくないはずです。

世界を市場として、世界中のユーザーの心を掴む、商品・サービスを出し続けていくことでしか、日本経済の再興はありません。


リーダーシップについて

ここに来て、安倍政権の支持率が、大きく低下しています。これは、安保法案だけの理由ではないでしょう。

私には、潮時が来ているように感じてしまいます。

だからと言って、安倍総理を批判する気は、毛頭ありません。首相の仕事は、我々のような凡人には、到底務まらない、心身ともに、国家に捧げる大事業です。ただ、首相と言えども、一人の人間であり、どんな仕事でもパーフェクトにこなせる訳がないからです。

ですので、よい後継者に引き継いでゆくのも、リーダーの重要な役割となります。このあたりは、企業経営者にも、同じことが言えます。

では、次世代のリーダーは、どのような人物であるべきかということになります。

私は、日本のリーダーは、もっと創造性が必要だと感じています。また、世界全体を具体的に良くしていく、明確なビジョンを持っていることが必要です。そのような人であれば、国際社会からも、一目置かれ、その意見も尊重されるからです。

軍事力だけがパワーではないはずです。きれいごとかも知れませんが、ペンは、剣より強いというもの、真実です。

日本から、より良いリーダーが多く、出現することを期待しています。