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海賊とよばれた男

「海賊とよばれた男」は、百田尚樹氏による、経済歴史小説で、出光興産の創業者である、出光佐三氏がモデルとなっています。今年の冬には、映画が公開されるようです。

出光興産と言えば、ちょうど、今、昭和シェル石油との合併の問題で、経営陣と創業家とで、意見が対立しており、話題となっています。

日本人の起業家魂

「海賊とよばれた男」では、主人公の起業家魂や、高い志というのが、よく伝わってきます。

ビジネスというものは、また、国家や人種の壁を超えたすばらしいものであるということも、改めて気付かされます。

第2次世界大戦という、激動の時代にあって、主人公が自らの使命を果たしていく姿は、感動を与えてくれます。

現代においても、大きなプロジェクトの実行のために、日夜、奮闘されている方々は、多くいらっしゃいます。

この小説は、その時代だけでなく、現代のビジネスにも、多くつながるものがあリます。

現代の海賊は誰?

高度経済成長の時代にかけて、日本には、多くの偉大な起業家が、誕生しています。では、平成の海賊は誰かと考えると、まず、孫正義氏が、頭に浮かんできます。

経営者というより、投資家という色が濃いため、賛否両論はあるものの、英アーム社を3.3兆円で買収するとの発表があったように、世界を相手にどんどん新たな挑戦を続けていく姿は、現代の海賊と呼んでも、差し支えないでしょう。

孫さんに続く、起業家が、日本にも、これから登場してくると、ビジネスの世界も、もっと面白くなるのではと思います。

これからの日本の経営

ソフトバンクに代表されるように、世界を相手に大きな取引を行う企業が、増加する一方、ローカルでビジネスを行い、小さいながらも、ネットを通じて、世界を商圏とする企業も増えていくでしょう。

インターネットにより、ビジネスにおける国境が取り払われ、より、効率的で、スピードが速く、ユーザーにとって利用しやすいサービスが、普及していくでしょう。

そのような変化の中でも、「海賊とよばれた男」に描かれているような普遍的な起業家魂は、ビジネスを行う上で、これからも大切であることは変わりありません。


日本企業が解決すべき、3つの問題点

日本の企業が、抱える問題点として、どの企業にも、概ね当てはまるものは、①低成長時代における持続的な成長②ホワイトカラーの生産性の向上③人事戦略です。それぞれについて、解決すべき問題点、解決の糸口を挙げていきます。

低成長時代における持続的な成長

日本の人口がこれから将来にわたって、減少していく中、顧客を増やし、売上を伸ばしていくことは、容易ではありません。特に上場企業は、株主からの株価や配当の上昇の期待が強いため、大きなプレッシャーとなります。

そのため、海外に販路を求める、新規事業を始める、M&Aで事業を買うなど様々な戦略を立て、それを実行しています。それでも、円高の逆風もあり、企業業績を継続的に伸ばし、右肩上がりの成長を続けることは、すべての企業にとって大きな課題となっています。

一方、アメリカに目を向けると起業家精神の強い国柄から、シリコンバレーを始めとして、新たな産業が経済成長を支えています。では、日本にシリコンバレーのような場所を創ればいいのでは、とも考えますが、単一民族の集まる日本で、なかなかそのような場所は、生まれません。

では、新しい産業は日本から生まれないかというと、日本人の得意な逆輸出により、アメリカやヨーロッパ発祥のものを日本で、アレンジし、洗練させ、コストを下げ、より売りやすい形で、海外へ売り込み、グローバルな地位を獲得するという手法は、向いています。

自動車産業が典型ですが、他の産業においても、逆輸出できる産業が、まだまだ豊富にあります。このように、日本の得意な手法で、より高度なニュービジネスを創り出すことはできます。

ただ、輸出に頼っていると、今回のイギリスのEU離脱の影響のように、当事者のイギリスやヨーロッパの会社の株価より、日本の会社の株価の方が下落するという、おかしな現象が出てきてしまいます。本来、いい商品・サービスを出し続け、顧客数が増えていれば、為替の変動とは無関係に、企業価値は、上がっていかなければなりません。

そのためには、真のグローバル化を目指し、世界最適を考えた、生産・物流・販売戦略が必要となります。

ホワイトカラーの生産性の向上

日本のホワイトカラーの生産性は、欧米に比して、まだ低いと言われています。生産性の向上のためには、最新の技術を駆使したITインフラを普及させるだけでなく、働き方(ただ、会社にいるだけでなく、何をやり、どのような成果をあげたかを重視するなど)の工夫も必要になります。

間接部門も含めたホワイトカラーの生産性を向上させることにより、仕事の質をより高め、コストを抑えて、より競争力の高い、商品・サービスを提供することが可能になります。

人事戦略

人事戦略と言っても、幅が広く、人の採用、人材育成、給与体系の整備等、実に様々な課題を含んでいます。

日本の人口は、前述のように減少していき、働く人は、減り続ける中、女性をもっと有効に活用したり、人工知能のような技術を、より発達させていくことは、大切ですが、それだけでなく、世界中から人材を求めることも、必要になってきます。

また、役員や、後継者選びについても、社内だけでなく、社外にも有能な人材を求めていくことがより増えていくでしょう。それにより、人材の流動性が高まり、企業に多様性が増すことは、新事業開発等の成長戦略に有効です。

以上のような、企業の持続的な成長を目的とした、グローバル戦略、ホワイトカラーの生産性の向上、人事戦略は、これからも、企業の最重要課題として、取り組み、常に改革を行っていく必要があります