売上の次に重要な数値として、利益があります。利益と言っても、様々な利益があり、「営業利益」「経常利益」「当期純利益」など同じ利益でも、その内容は異なります。
利益は、売上から、それについて、かかったコストを差し引いたもので、売上以上にコストがかかっていれば、販売しても、お金はどんどん減っていくことになり、商売を継続することはできません。
ここでは、投資の際に留意すべき事項を、いくつか記載します。
様々な利益の違い
まず、売上から、それに関わる原価を引いた利益を、「売上総利益」といい、別名、粗利益とも言います。売上総利益からは、通常、商売を継続するために必要な、販売にために必要な費用や、管理のために必要な費用は、差し引かれていません。そのような費用を差し引いた利益を、「営業利益」と言います。これは、企業が自社の営業から得られる利益です。
営業利益から、配当金や、利息など、営業とは直接関係しない費用を加減した利益を、「経常利益」と言います。経常利益から、臨時的に発生する固定資産の売却損益を加減し、支払う法人税などを差し引いた利益が、最終の「当期純利益」です。
どの利益を見たらいいか
企業の営業上、通常発生する「営業利益」の増減は、企業の事業の成長力を最も反映するものであり、成長力は、営業利益をベースに判定するのが、最も妥当と言えますが、日本企業は、借入金の利息や、配当収入なども、毎期、継続的に発生し、また、為替の差損益も経常利益に反映されるため、経常利益を重視する傾向になります。
PERとは
投資において、PERという指標をよく耳にします。これは、株価収益率のことで、株価を一株当たりの当期純利益で割って算出します。株価が、1株当たりの当期純利益に対して、高いか安いかという目安となり、投資において、最も、重要な指標の一つです。
では、PERが低ければ、株価は必ず割安で、高ければ割高かというと、必ずしも、そうではなく、それは、企業の成長率との兼ね合いとなります。
例えば、PERが、20%であっても、企業の成長率がそれ以上であれば、割安と言えますし、PERが、5%であっても、企業の成長率がそれ以下であれば、割高となります。
実際には、継続的に得られる配当収入も考慮しなければいけないので、PERから、配当利回りを差し引いた比率と成長率と比較して、どちらが高いか、ということになります。
高値づかみを避けるためには
投資で成功するためには、高値づかみは避けなければなりません。そのためには、PERだけでなく、企業の成長率を見極めなければなりません。企業が公表されている計画上の数値から、修正される可能性もあるため、成長率を的確に把握することは、なかなか困難です。
また、PERも、用いれている利益は、当期純利益で、臨時的な損益が加減されたものであり、翌年度に大きく変動することもあり得ます。
これらを考慮しつつ、割安、割高の判断しなければなりません。
次回は、キャッシュについて、記載します。