社外取締役が機能するためには

衆議院選挙が昨日台風の中、行われました。結果は大荒れではなく、大方のほぼ予想通り、自民党の勝利となりました。希望の党は、都議選の勢いを維持できず失速し、大敗しました。今後の政権運営の行方が注目されます。

さて、企業経営の話になりますが、最近、注目されているのは、大企業の不祥事です。日産、神戸製鋼の不正問題は、マスコミで大きく取り上げられました。このような際、必ず企業のガバナンスはどうなっているのか、という話題になります。

社外取締役の制度は、機能しているのか?

日本にも、社外取締役の制度は、定着した感はありますが、果たして、機能しているかというと、クエスチョンマークがついてしまいます。

なぜ、機能していないか、という問いには、さまざな理由がありますが、そもそも、月数回、取締役役会に出席するだけで、その会社のことが本当に理解できるのか、という疑問があります。

社外取締役は、他業界の出身の専門家が多く、もともと、その業界に精通している訳ではないし、ましてや、会社の業務に詳しい訳でもありません。しかし、他業界で培っている見識を、活かして欲しいという意図で採用されています。

従って、社外取締役自身が、その業界や会社のことを、もっと理解し、深く知るための努力が必要であるのに、それを十分に行なっていないケースが多く、それで、実効性など得られる訳がありません

選任する側にも、問題がある

社外取締役を選任する側は、過去の実績や、経験、地位などを参考にして決定する訳ですが、それは、あくまで、過去のもので、過去に実績があるから、現在も、いい仕事ができるかというと、そうではありません。

実務から離れ、引退後の小遣い稼ぎ感覚で、社外取締役を請け負っている人達が、真剣にその会社のために、自分の時間を削って、業務を執行するでしょうか?

「仕事人内閣」という言葉が使われていましたが、「仕事人社外役員」となるべく、意欲のある人を、探さなければいけません。株主の目を気にして、過去の肩書きばかりにとらわれていても、いい仕事は期待できないでしょう。

勤務日数を増やす

実効性のある業務を期待するなら、もう少し、社外取締役の勤務日数を増やしていく必要があるでしょう。従って、あまりに多くの会社を兼任することは、時間的に不可能になるはずです。

とはいっても、会社からの独立性は維持される必要があるので、常勤という訳ではなく、フレキシブルな形で、日数を増加させる方策を取るべきと考えます。

社外取締役の活用で、会社はもっとよくなる

社外取締役が、有効に機能すれば、会社はもっとよくなり、成長を加速させることができます。

経営者と、社外取締役がお互いを認め合う関係を構築し、相互に自由闊達な意見を交わすことができれば、自社だけでは、生まれなかったアイデアや、戦略が湧き出ることもあるでしょう。

そのためには、経営者側、社外取締役の双方の意識を変えていく必要があります。