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生産性の向上と、創造性

日本は、生産性が低いと言われますが、では、知恵において劣っているかというと、そんなことはなく、改善であるとか、常識の範囲内でのアイデアを実行することは、日本人は、とても優れています。

しかし、今までに全くなかった、あっと驚くようなアイデアを実行していくことは、日本人は苦手と言えます。

その理由としては、日本は、単一民族国家なので、多様性に欠けていることも、大きな要因です。

ですので、せめて、女性の活用には、力を入れるべきと、女性活躍推進法が成立し、この4月から施行されます。

有能な女性が社会で活躍できる機会を増やしていくことは、確かに生産性の向上となるでしょう。しかし、これから人口が、どんどん減少していく中、それだけでは足りません。

移民を積極的に受け入れるのでなければ、日本人自体が、今までと大きく変わっていくことが必要です。

大企業にあっても、個人のアイデア、意見を尊重する風土を創り、自由闊達に意見を述べることができる社風にしなければいけません。

改善は苦手でも、創造性は豊かな人材を、役立たず扱いにせずに、上手に活用していくことは、企業の発展にも不可欠でしょう。

 


企業の経営課題

どんな優良企業でも、大企業でも、必ず経営課題はあります。

経営課題は、下記の2つの切り口で分けることができます。

①経営者が認識している経営課題

②経営者が認識していない経営課題

①については、早急に解決していくということになりますが、厄介なのは、②の方で、人の病気と同じように、経営課題は、早期発見が重要であり、気がついた時には、手に負えない程、大きくなっていたという事態は、避けなければいけません。

早期発見のための手段としては、

A.経営者自らが、現場と接する。

B.内部の他の者に任せる。

C.外部に委託する。

となりますが、それぞれ一長一短があり、実現可能性等も考慮して、これらを組み合わせ、選択していくことになります。

一番大切なのは、正しい情報が、速やかに、そして確実に、経営者に伝わる仕組みを作りあげることです。

 


企業の成長と、投資戦略

企業が成長・発展するには、様々な投資が必要ですが、その中でも、最もコアとなるものは、下記の二つです。

①研究開発投資(商品開発投資)

②人材投資

一般的に投資と言うと、設備投資であるとか、株式投資(資本投資)などが、頭に浮かびますが、それは、上記の目的に付随するものです。

また、投資戦略を考える上では、どれだけお金をかけるかだけでなく、どれだけの時間をかけるかが、重要です。

このように、投資戦略においては、キャッシュ・フロー計算書の出る幕は、全くありません。

投資戦略のミッションは、「最小の労で、最大の功をあげる」ことです。

明確な投資戦略がないところに、企業の成長はありえません。


企業変革のために

自社を変えなければならない。変えていかなければ、生き残りができなくなるという悩みを抱えられている、経営者の方々は多いですが、なかなか企業を変えていくことは、困難です。特に、社歴の長い大企業は、そう簡単には変われません。

いい会社は、「経営者」「商品・サービス」「人・組織」「財務内容」から成ると書きましたが、企業変革は、まさにその4つにメスを入れることになります。よって、企業変革の方法としては、

① 経営者が変わる

経営者の意識が変わる、世代交代する、他から経営者を登用する、など

② 商品・サービスが変わる

新事業の展開、従来の事業からの撤退、M&Aなど

③ 人・組織が変わる

組織再編、採用形態の変更、人事制度の変更、海外進出など

④ ①〜③の結果により、財務内容が変わる。

上記のようなことを成し遂げるには、大きな動機付けがないと、できません。ただし、実行しなければ、手遅れになる場合もあります。

もし、本気で変えるのであれば、大胆な実行を行う必要があるのです。

 


ニーズとウォンツ

ニーズとウォンツは、マーケティングを少しでも勉強された方であれば、よくご存知でしょうし、勉強したことのない方でも、聞いたことはある言葉だと思います。

ニーズは、必要があるから、商品やサービスを買うことであり、ウォンツは、このサービスや商品を欲しいという動機から、商品やサービスを買うことです。

欲求としては、ニーズより、ウォンツの方が強くなり、ニーズを満たす商品・サービスは、商品・サービスの魅力より、価格の低さが求められる条件であり、ウォンツを満たすためには、商品・サービスの魅力が条件となります。

当然、ウォンツを満たす、商品・サービスを創る方が望ましいのですが、そのためには、それだけの魅力のある商品・サービスを創り出す必要があり、企業は、日夜、努力している訳です。

では、どうしたらウォンツを満たす、商品・サービスを創り出すことができるでしょうか?技術的に優れている、高い専門性がある、だけでは、ウオンツは満たされません。技術だけでなく、デザインの力も重要ですし、どのようにプロモーションするかによっても、大きく違います。

それらへの挑戦が困難なため、資金や人材不足の中小企業や、大企業であっても、成熟産業においては、ニーズを満たすのみに専心しているのが、実態ではないでしょうか。

それを打開していくためには、斬新なアイデアが必要となります。では、どうすればアイデアが生まれるのかということなりますが、まずは、アイデアを生み出すことを良しとする環境作りが必要です。人材に多様性が必要というのは、このような理由があるからです。自社に人材がいなければ、異業種との交流からも学ぶことはできます。今までに持たなかった視点を取り入れることで、斬新なアイデアは生まれてきます。

我々、一人一人は、商品・サービズの供給者である一方、消費者でもあるので、消費者である自分は、どのような商品・サービスが欲しいだろうかという、視点には立つことができるはずです。

経営者がそのような意識を強く持つことで、企業は少しずつでも、変わっていくことができるのです。


価値と価格

企業価値という言葉は、よく使われますし、M&Aの際には、一定の手法により、企業価値が算出され、企業の売買が行われます。

しかし、企業価値というものを数値化することは、非常に困難です。なぜなら、価値というものは、完全に数値化することができないためです。

例えば、私がカメラを買うとします。カメラの価格が10万円だとすると、当然、カメラには、それ以上の価値を期待します。将来にわたって、価格以上の満足を与えてくれるだろうと感じるから、カメラを購入するのです。

このように、価値は、取引価格を上回っていなければいけません。もし、受け取る価値が、価格を下回っていたら、二度とその商品は買わないばかりか、その企業の商品すべてを、買わなくなるかも知れません。

食事に行って、とてもまずかったり、サービスが悪かったりしたため、もうその店は行かない、ということはよくあります。

企業価値を生み出すのは、商品・サービスであり、それを創り出す従業員や、従業員を雇用する経営者です。従って、企業価値を考える上では、財務内容だけでなく、それらが、どれだけの価値を生むかを考えなくてはいけません。

そして、価値が価格をどれだけ上回っているのかを評価しなければなりません。仮に価値が価格を下回っていれば、価格は、将来、価値の水準以下になるはずです。

このようなことから、企業価値を持続的にどうやって高めていくかというのは、企業の非常に重要な課題となります。

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ビジネスという戦争

ビジネスは、よく戦争に例えられます。昔は、槍や刀で戦争していたのが、現代では、ビジネス・経済の戦争になったと。

経営でも、肝である、経営戦略(strategy)は、戦争用語ですし、他にも、一点突破、人海戦術など、経営においても、戦争用語が色々用いられています。

戦争は、時に人の人格を破壊しますが、ビジネスにおいても、人格が破壊されてしまった人を、今まで、数多く見てきました。もちろん、戦争においても、すべての人の人格が破壊される訳ではなく、多くは人としての正しいあり方に悩みながら、日々を過ごしているのだと思います。

敵に塩を送るという上杉謙信の美談を、日本人なら、多分どこかで聞いているでしょう。戦争は、もちろん、勝たなければなりませんが、人として、フェアな精神は忘れてはいけないということを、教えられます。

ビジネスも、もちろん勝たなければいけませんが、手段において、卑劣であれば、いずれは、自らの首を絞めることになります。

ブラック企業という言葉が、定着していますが、このような企業が、末長く繁栄することは難しいでしょう。

企業の社会的責任(CSR)とか、最近は、マイケル・ポーターのCSV(Creating Shared   Value)が、よく取り上げられていますが、根本的には、企業人であっても、人としての道を踏み外すな、ということに集約されます。

これは、経営者だけでなく、従業員、投資家など、企業のすべてのステーク・ホルダーが、心して行動すべきことです。

ビジネスは、フェアに、もっと楽しむべきではないでしょうか。

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21世紀の負債

昨年、トマ・ピケティの「21世紀の資本」が大ブームとなりました。

ここでの内容は、ピケティの「21世紀の資本」とは、全く関係なく、資産や、財産と考えられてきたものが、負債となりうるということを述べます。

負債というと、思い浮かべるのは、借入金、買掛金といったものになるでしょう。負債は、このように、将来の支払義務であると定義できます。

では、資産や、財産であっても、負債となりうるというのは、どのようなものでしょうか?

第1に、不動産があります。不動産自体が負債ではないですが、不動産を維持するためには、固定費として、固定資産税や、修繕費などのコストがかかります。これらは、不動産を全く、使用していなくても、かかるものです。

空き家問題が、全国で深刻化していますが、空き家からは、全く収入が得られませんが、先ほどの固定費は、毎年かかります。従って、将来の支払義務が、発生する負債と考えることができます。

会社が所有している不動産も、収益を生まなければ、会計基準に従えば、減損処理により、帳簿価額を費用化しなければいけません。大企業は、業績が悪くなるとこの減損と、繰延税金資産の取り崩しにより、ダブルパンチを受けることになります。

第2に、人(従業員)があります。人は、会社の財産であるとよく言われますが、従業員が、全く機能しなければ、固定給という負債が、毎月発生することになります。

人手不足で、人を選ぶことができなったから、仕方なく採用した、というような声を聞くこともありますが、採用で失敗すれば、将来の負債を抱えることになります。

個人で言えば、悪妻は、典型的な負債と言えます。悪妻は100年の不作と言われますが、パートナー選びに失敗すれば、子供の代まで、災いを及ぼすことになります。

これらから、言えることは、資産や財産であっても、選択を誤れば、将来、負債となり、後で大きなつけが回ってくるということです。

ということは、不動産の購入、人の採用といった事項は、将来にわたり、会社の財政状態に影響を及ぼすものであり、選択時には、十分な思慮が必要ということです。また、選択後に有効に機能させるための、知恵も必要となります。

もちろん、結婚も言うまでもないですね。

 


東芝の事件から、学ぶべきこと

世間を色々と騒がせた東芝の「不適切会計」事件ですが、これは、会計だけの問題ではなく、現状の日本の企業経営を象徴する事件であると、私は考えています。

従って、これは、東芝だけでなく、すべての日本企業(特に大企業)が教訓とすべき事件です。

何故、この事件が起きたかという原因として、ガバナンス、内部統制が機能していなかったと言われています。形式的には、整っていたものの、実質は形骸化していたと。

官、学で制定される制度を、民間が実行する際においては、この問題は、必ず起こります。制度として従わなければならないなら、形式だけは、それらしく整えて、極力、実務で手を抜くようにすればいい、ということになります。

官、学は、実務のことはよく知りませんので、それでも、外から見たら、よくやっているということになります。

6月から、運用開始となったコーボレート・ガバナンス・コードにしても、個人的には、会社側は、またしても、形式的に対応しようとしているところが、多分にあると思っています。

新たに東芝で、選任された、社外役員のリストを見ましたが、申し訳ないですが、これは、ダメだと思いました。

年齢が高すぎます。本当に再起したいのなら、もっと若い人も加えるべきです。

経営に、さまざまアイデア、発想を取り入れることが目的なら、若い人や、さまざまな職種、国籍の人たちの、アイデアや発想も有益ではないでしょうか?もちろん、年齢の高い、実績のある方々の意見は重要ですが、年をとると実務感覚が鈍るのも事実です。

伝統のある会社ほど、斬新なアイデアを取り入れていく必要があります。これがイノベーションです。

また、制度の策定時にも、もっと多様性を持った、さまざま業界、企業規模、年齢層の人たちの意見を取り入れるべきです。

制度の策定時には、多様性が保たれていないのに、実務だけ、多様性を取り入れろというのは、いかがなものでしょうか?